2017年6月のRedmine開発状況
Redmine本体の開発について、2017年6月中の主な動きをピックアップして紹介します。
概況
Redmineの最初のリリースから11周年を迎えた2017年6月25日、対象バージョン 3.4.0 の期日がセットされ、Redmine 3.4.0のリリース予定日が7月2日に決まりました。新機能を含むfeature releaseとしては約1年ぶりで、200件もの機能追加・修正が行われる大型のアップデートです。
6月中にクローズされたチケットは39件でした。Redmine 3.4.0のリリースに向けて最後の仕上げが行われたようです。
2017年7月1日 16時時点のの各バージョンのチケットの状況は以下の通りです。Redmine 3.4.0への新機能追加は終了し、Redmine 3.5.0への開発が始まっています。Redmine 3.4.0で1個未完了チケットがあるものの、3.4.0、3.3.4、3.2.7の開発はほぼ完了しています。
バージョン | 全チケット数 | 未完了チケット数 |
---|---|---|
3.5.0 | 17 | 12 |
3.4.0 | 201 | 1 |
3.3.4 | 3 | 0 |
3.2.7 | 12 | 0 |
今月紹介するチケットの一覧です。
- Email notifications
- Permissions and roles
- Search engine
- Text formatting
- UI
リポジトリにコミットされた機能追加・修正
今後の新バージョンに含まれることが確定した新機能やバグ修正のうち、メリットや影響が比較的大きそうなものを紹介します。
Email notifications
Feature #25842: 通知メール内のテーブルに枠線を表示
Redmine 3.4.0では通知メール内のテーブルに枠線が表示されるようになります。現行バージョンでは枠線がないため、チケット内でテーブルが使われていると表示が見にくいことがあったのが改善されます。
現行バージョン:
3.4.0:
Permissions and roles
Feature #4866: 新たな権限「メッセージの閲覧」
Redmine 3.4.0では新たな権限「メッセージの閲覧」が追加されます。これまではフォーラムに投稿されたメッセージはプロジェクトにアクセスできる全ユーザーに見えていましたが、Redmine 3.4.0ではロールごとに閲覧可否を設定できるようになります。
Feature #7068: 新たな権限「ニュースの閲覧」
Redmine 3.4.0では新たな権限「ニュースの閲覧」が追加されます。これまではニュースの掲載内容はプロジェクトにアクセスできる全ユーザーに見えていましたが、Redmine 3.4.0ではロールごとに閲覧可否を設定できるようになります。
Search engine
Feature #9909: 検索ボックスの検索対象を表示中プロジェクト+サブプロジェクトに変更
画面右上の検索ボックスから検索を行うときの検索対象は、現行バージョンでは表示中プロジェクトのみですが、Redmine 3.4.0はサブプロジェクトも対象となります。親プロジェクトのチケット一覧ではサブプロジェクトのチケットが見えているのに検索ではそのチケットがヒットしないなど、直感的ではない挙動が改善されます。
ただ、サブプロジェクトも対象になることで検索対象のデータが増えるため、サブプロジェクトのデータの総量が多いと検索のレスポンスタイムが長くなってしまいます。大規模なRedmineを運用している場合は注意が必要かもしれません。
Text formatting
Feature #4179: ユーザーのプロフィール画面にリンクするためのWiki記法
Redmine 3.4.0では、チケットやWiki内でユーザーのプロフィール画面へのリンクを記述するためのWiki記法が追加されます。以下のいずれかの形式の記述を行うと、その記述が氏名に変換された上でユーザーのプロフィール画面へのリンクが行われます。
@ログインID
(例:@jsmith
)user:ログインID
(例:user:jsmith
)user:#ID番号
(例:user:#2
)
なお、リンクを記述するためのログインIDは、Redmine 3.4.0においてもシステム管理者でないユーザーが知る方法がありません。Feature #26127 のチケットでは一般ユーザーでもプロフィール画面でログインIDを確認できるようすることが提案されています。
リンクのための記述:
リンク先のプロフィール画面:
UI
Patch #25775: 作成者のアイコンに加えて担当者のアイコンもチケットに表示
「管理」→「設定」画面の「Gravatarのアイコンを使用する」をONにするとチケットの左上に作成者のアイコンが表示されますが、Redmine 3.4.0ではこれに加えて担当者のアイコンも表示されるようになります。
Redmineの用途にもよりますが、作成者より担当者のほうが重要であることは少なくありません。作成者と担当者の両方が一目で分かるようになることで利便性の向上が期待できます。
Feature #25988: 添付ファイルをクリックしたときの動作をダウンロードからプレビューに変更
チケットやWikiに添付されているファイルをクリックすると、現行バージョンではダウンロードが始まりますが、Redmine 3.4.0ではプレビュー画面が表示されるようになりました。
ダウンロードするにはファイル名右側のダウンロードアイコンをクリックするか、プレビュー画面でダウンロードリンクをクリックします。
変更前(Redmine 3.3)の添付ファイルの表示:
変更後(Redmine 3.4)の添付ファイルの表示:
プレビュー画面(プレビューに対応した形式のファイル):
プレビュー画面(プレビューできない形式のファイル):
Feature #25999: リポジトリブラウザでファイルをクリックした後の画面を「履歴」から「表示」に変更
現行バージョンでは、「リポジトリ」画面でファイル名をクリックするとそのファイルの履歴が表示されます。しかし、実際には履歴ではなくファイルの内容を見たいことの方が多いのではないでしょうか。ファイルの内容を見るにはさらに「表示」をクリックする必要があり、個人的には面倒に感じます。
Redmine 3.4.0ではファイル名をクリックしたときの動作が内容表示に変更されます。さらに、「表示」「履歴」「アノテート」のリンクがタブに変更されるなどユーザーインターフェイスも整理されます。
リポジトリブラウザでファイル名をクリックしたとき…
現行バージョンでは「履歴」が表示される
Redmine 3.4.0ではファイルの内容が表示される
Feature #26071: 画像ファイルをドラッグ&ドロップで添付したときインライン表示用のマークアップも挿入
これまでチケットやWikiに画像をインライン表示させるには、画像ファイルを添付してから !image.jpg!
(Textileの場合)または [](image.jpg)
(Markdownの場合)のような記述を行っていました。Redmine 3.4.0ではドラッグ&ドロップでファイルを添付するだけでインライン表示のための記述も同時に挿入されるようになります。
ファイル添付とマークアップ記述の2つの操作が必要だったのがドラッグ&ドロップだけで済むようになり、操作時間を大幅に短縮できます。
なお、マークアップが自動挿入されるのはドラッグ&ドロップで添付したときだけです。ファイル選択ダイアログからファイルを選んで添付したときはこれまで通りマークアップの挿入は行われません。
バックナンバー(Redmine 3.4.0 開発開始以降分)
- 2017年5月のRedmine開発状況
- 2017年4月のRedmine開発状況
- 2017年3月のRedmine開発状況
- 2017年2月のRedmine開発状況
- 2017年1月のRedmine開発状況
- 2016年12月のRedmine開発状況
- 2016年11月のRedmine開発状況
- 2016年10月のRedmine開発状況
- 2016年9月のRedmine開発状況
- 2016年8月のRedmine開発状況
- 2016年7月のRedmine開発状況
- 2016年6月のRedmine開発状況
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