2016年11月のRedmine開発状況
Redmine本体の開発について、2016年11月中の主な動きをピックアップして紹介します。
概況
12月5日 20時時点で、ロードマップ画面ではRedmine 3.2.5向けのチケットが6件中1件、Redmine 3.3.2向けのチケットが7件すべてクローズされています。1〜2週間内にmantenance releaseが行われるかもしれません。ちなみに直近のmaintenance releaseは約2ヶ月前の10月10日でした。
バージョン | 全チケット数 | 未完了チケット数 |
---|---|---|
3.4.0 | 93 | 36 |
3.3.2 | 7 | 0 |
3.2.5 | 5 | 1 |
なお、11月中にクローズされたチケットは17件でした。
機能追加・修正
リポジトリにコミットされた機能追加・修正のうちメリットや影響が比較的大きそうなものを紹介します。
- UI
- Plugin API
UI
Feature #3425: 「関連するチケット」に進捗率の表示を追加
Redmine 3.4.0では、チケット表示画面の「関連するチケット」欄に、進捗率を表すバーが表示されるようになります。
現行バージョンではこのバーが「子チケット」欄のチケットには表示されているのにもかかわらず「関連するチケット」欄のチケットには表示されていません。UIの一貫性を高めるための変更です。
Feature #23310: 「プロジェクトへ移動…」ドロップダウンの改善
Redmine 3.4.0では、画面右上のプロジェクトセレクタにプロジェクトの絞り込み機能(インクリメンタルサーチ)が追加されます。プロジェクト名の一部を入力すると、名称が部分一致するプロジェクトのみが絞り込まれて表示されます。多数のプロジェクトに参加しているときに、目的のプロジェクトへの移動が素早く行えるようになります。
Feature #23996: 作業時間の表示を HH:MM 形式に切り替える設定を追加
現行バージョンでは予定工数と作業時間の表示において、1時間未満の値は小数で表示されます。例えば、30分は0.5、1時間20分は1.33といった具合です。
Redmine 3.4.0では、1時間未満の値を小数ではなく、0:30、1:20のように分単位の値をそのまま表示することを選択できるようになります。時間をより直感的に把握できるようになります。
いずれの形式で表示するのかは「管理」→「設定」画面の「表示」タブの「時間の形式」で選択できます。
表示形式を切り替えるための設定:
1時間未満を小数で表示:
1時間未満を分単位で表示:
Revision 15983: プロジェクトを横断した情報を表示するためのメニューを「プロジェクト」画面に追加
全プロジェクトのチケットを表示するためには、現状では画面最上部のアプリケーションメニュー内の「プロジェクト」をクリックした後、プロジェクトの一覧画面で「すべてのチケット」をクリックしていました。
Redmine 3.4.0では、「プロジェクト」画面に「活動」「チケット」などのタブが表示され、プロジェクトを横断した情報を表示するための操作が個別のプロジェクトでの操作と共通化されて分かりやすくなります。特に、ガントチャートとカレンダーは、これまでは「プロジェクト」→「すべてのチケットを表示」→「ガントチャート」という3クリックが必要でしたが、Redmine 3.4.0では「プロジェクト」画面からタブをクリックすることで直接表示画面に移動できるようになります。
[現行バージョン] 「すべての○○」をクリック:
[Redmine 3.4.0] タブをクリック:
Plugin API
Patch #24007: プラグインのインストールディレクトリを configuration.yml で変更するための設定を追加
現行バージョンのRedmineではプラグインのインストール先ディレクトリはRedmineインストールディレクトリ内の plugins
ディレクトリで固定ですが、Redmine 3.4.0では設定ファイル config/configuration.yml
内の plugins_path
で任意のディレクトリを指定できるようになります。
注目のチケット
今後のリリースに含まれるかどうかまだ未確定ですが、最近動きがあったチケットの中で筆者が注目しているものを紹介します。
Feature #10989: 未完了の子チケットを持つ親チケットのクローズを禁止
現在のバージョンのRedmineは、親チケットのステータスは子チケットの状態に関係なく変更できます。しかし、親チケットのタスクを小さく分解したタスクが子チケットであるという考え方からすると、子チケットが未完了なのに親チケットがクローズできるというのは論理的にはおかしな話です。
この問題は数年前から複数のチケットで指摘されていましたが、今年9月になってMarius BALTEANU氏よりパッチが提供されました。Redmine 3.4.0で実装されるかもしれません。
[パッチ適用後] 未完了の子チケットを持つ親チケットをクローズしようとするとエラー:
バックナンバー(Redmine 3.4.0 開発開始以降分)
- 2016年10月のRedmine開発状況
- 2016年9月のRedmine開発状況
- 2016年8月のRedmine開発状況
- 2016年7月のRedmine開発状況
- 2016年6月のRedmine開発状況