2016年10月のRedmine開発状況
Redmine本体の開発について、2016年10月中の主な動きをピックアップして紹介します。
概況
10月10日にRedmine 3.3.1、3.2.4、3.1.7がリリースされました。6月のRedmine 3.3.0以来、4ヶ月ぶりのリリースです。通常よりリリースの間隔が開いたため、変更・修正の件数も44件と多めです。変更・修正点の一覧は下記でご確認ください。
Redmine 3.3.1 / 3.2.4 / 3.1.7 リリース
10月中にクローズされたチケットは27件でした。
機能追加・修正
リポジトリにコミットされた機能追加・修正のうちメリットや影響が比較的大きそうなものを紹介します。
- Custom fields
- Issues
- My Page
- Issues filter
- REST API
Custom fields
Feature #6719: カスタムフィールドに新たな書式「ファイル」を追加
Redmine 3.4.0ではカスタムフィールドに新たな書式「ファイル」が追加されます。このカスタムフィールドは、ファイルをアップロードして添付することができるもので、簡単に言えばチケットの添付ファイルの欄をデフォルトのものとは別に設けることができるようになるものです。
例えば、ソフトウェアのバグ報告用のチケットでスクリーンショットを添付するための必須入力のカスタムフィールドを追加し、必ずスクリーンショットを追加してもらうようにするといった使い方が考えられます。
Issues
Defect #20127: MySQLを使用しているときにチケットの説明と注記に64KBを超えるテキストを入力できない問題の修正
これまでチケットの説明欄と注記欄は、バックエンドのデータベースにMySQLを使用しているときは64KBを超えるテキストを入力しようとすると例外が発生していました(PostgreSQLやSQLiteでは問題なし)。
Redmine 3.4.0ではそれらのフィールドを格納するためのテーブルのカラムの型が変更され、16MBまでのテキストを入力できるようになりました。
My Page
Feature #8761: マイページパーツ「作業時間」で何日分の情報を表示するか設定可能に
Redmine 3.4.0ではマイページ画面内の「作業時間」で、直近何日分のデータを表示するのか設定できるようになります。これまで直近7日間で固定でしたが、ユーザーが自分好みに設定できるようになりました。
この設定機能は、マイページパーツ「作業時間」だけではなくほかのパーツにも拡張できるよう作られています。今後、ほかのパーツに設定機能が追加されたり、マイページパーツを追加するプラグインが設定機能を持つようになることが期待されます。
r15929: マイページのチケット一覧のレイアウト変更
マイページ画面の「報告したチケット」「担当しているチケット」のチケット一覧のレイアウトが変更されました。Redmine 3.4.0に反映されると思われます。
- ステータスを単独のカラムで表示
→ チケットのステータスが把握しやすくなる - チケット1件分の行の高さが固定に
→ チケットの数を視覚的に把握しやすくなる
変更前:
変更後:
Issues filter
Feature #23215: 新たなチケットのフィルタ「対象バージョンの期日」と「対象バージョンのステータス」を追加
Redmine 3.4.0ではチケットのフィルタの種類に新しく「対象バージョンの期日」と「対象バージョンのステータス」が追加されます。
これまでもチケットの一覧を特定の対象バージョンに含まれるチケットのみに絞り込むことができましたが、今後は例えば次のような条件での絞り込みもできるようになります。
- 特定の日までに期日を迎えるバージョンに含まれるチケット一覧
- 終了したバージョンに含まれるチケット一覧
REST API
Defect #23766: REST APIでチケットを作成する際にプロジェクト識別子によるプロジェクト指定が行えない問題を修正
REST APIでチケットを作成するとき、サーバに対して次のようなHTTPリクエストを送信します。このとき、パラメータ projetct_id
でチケット作成対象のプロジェクトを指定します。
POST /issues.json { "issue": { "project_id": 1, "tracker_id": 1, "subject": "チケット作成テスト", } }
projetct_id
に指定できるのはプロジェクトのID番号ですが、実は以前のバージョンではプロジェクト識別子を指定することもできました。ただ、この挙動は開発者が意図したものではなかった(#19276#note-8)として、Redmine 3.0.0からはID番号のみが指定可能となりました。
しかし、正式なアナウンスなしにAPIの互換性が損なわれるのは問題であるとの指摘があり、Redmine 3.3.1より再びプロジェクト識別子も指定できるよう修正されました。
注目のチケット
今後のリリースに含まれるかどうかまだ未確定ですが、最近動きがあったチケットの中で筆者が注目しているものを紹介します。
Patch #23980: アイコンの画像をアイコンフォントで置き換え
Redmineの画面で使われているアイコンは16×16pxの画像ですが、これをアイコンフォントに置き換えることが提案されています。次のようなメリットがあります。
- アイコンフォントはビットマップではなくベクター形式なので、拡大しても表示がきれい。MacのRetinaディスプレイのような高精細ディスプレイでも美しく表示される
- CSSによる色やサイズのカスタマイズが容易
- 画像1個ごとにHTTPリクエストを行う必要がなくなるので、画面表示が高速になる