2016年9月のRedmine開発状況
Redmine本体の開発について、2016年9月中の主な動きをピックアップして紹介します。
概況
9月中にクローズされたチケットは17件でした。Jean-Philippe Lang氏が多忙なのか開発はやや低調でした。
10月9日 16時の時点のロードマップ画面のチケットの状況は以下の通りです。Redmine 3.3.1が進捗率96%、3.2.4 と 3.1.7 が100%となっています。近日中にmaintenance releaseが行われそうです。
バージョン | 全チケット数 | 未完了チケット数 |
---|---|---|
3.4.0 | 66 | 30 |
3.3.1 | 26 | 1 |
3.2.4 | 13 | 0 |
3.1.7 | 13 | 0 |
機能追加・修正
リポジトリにコミットされた機能追加・修正のうちメリットや影響が比較的大きそうなものを紹介します。
- Issues
- Issues workflow
- Translations
Issues
Feature #21623: チケットのプロジェクトまたはトラッカーの変更により失われたカスタムフィールドの値を履歴に記録
チケットのカスタムフィールドはプロジェクトまたはトラッカーごとに使用するかどうかを定義します。チケットの編集によりプロジェクトまたはトラッカーを変更したとき、もし変更元で使用していたカスタムフィールドが変更先では使われていない場合、現行のRedmine 3.3.xではカスタムフィールドの値が失われます。
Redmine 3.4.0ではこの挙動が若干改善され、失われた値がチケットの履歴に記録されるようになりました。
Issues workflow
Defect #14696: チケットをコピーして作成するとき、元のステータスとデフォルトのステータスしか選択できない
Redmineには既存のチケットをコピーして新しいチケットをコピーする機能がありますが、現行バージョンの3.3.xではコピー元のチケットで設定されていたステータスとそのチケットのトラッカーでデフォルトとして設定されているステータスの2つしか選択できません。
Redmine 3.4.0では、ワークフローで「新しいチケット」からの遷移先として指定されているすべてのステータスが選択できるようになります。
Translations
Patch #23659: label_enumerations の日本語訳を「列挙項目」から「選択肢の値」に変更
「文書カテゴリ」、「優先度」、「作業分類 (時間管理)」の選択肢を設定する画面は「列挙項目」と名付けられていますが、Redmine 3.4.0では「選択肢の値」に変更されます。「列挙項目」という言葉はRedmine以外の文脈で使われている事例が少なく、多くの人にとってあまりなじみがないと考えられるためです。
注目のチケット
今後のリリースに含まれるかどうかまだ未確定ですが、最近動きがあったチケットの中で筆者が注目しているものを紹介します。
Patch #21808: サイドバーの表示・非表示の切り替え
Redmineの画面のサイドバーを非表示にしたいという要望は以前からあり、これを実現するプラグイン Hide Sidebar も人気です。
Patch #21808 ではサイドバーの表示・非表示の切り替えを実現するパッチが提案されています。最も新しいパッチはRedmineを美しく高機能に改良したクラウドサービスを提供しているPlanioによるもので、ブラウザのローカルストレージを利用して画面ごとに表示・非表示の状態が保持されるようになっています(既にPlanioのサービスでは本機能は実装済み)。
Feature #22802: バージョン内のチケットをドラッグ&ドロップで並べ替え
現在のバージョンのRedmineではチケットの優先順序を表現する手段は「優先度」フィールドを使うか、「関連するチケット」で先行・後続の関係を指定するしかありませんでした。
Feature #22802:のチケットに対して投稿されたパッチは、ロードマップ画面でバージョン内のチケットの並べ替えを実現するものです。このパッチが採用されれば、プロジェクトのあるフェーズあるいはイテレーションの中で、どのチケットから作業を進めるべきか簡単かつ正確に表現できるようになります。