最近のRedmine開発状況 (2016年3月)
Redmine本体の開発について、2016年3月中の主な動きをピックアップして紹介します。
機能追加・修正
リポジトリにコミットされた機能追加・修正のうちメリットや影響が比較的大きそうなものを紹介します。今回紹介するものはすべてRedmine 3.3.0のリリースに含まれることが確定しています。
Issues
Feature #14462: Previous/next links may be lost after editing the issue
Redmineのチケット表示画面では「前」「次」のリンクをクリックすることでフィルタ条件に一致するチケットを次々と参照することができます。このとき、あるチケットでステータス変更などフィルタ条件から外れる操作をすると、「前」「次」リンクが消えてしまいます。この問題が修正され、チケットの参照・更新の操作性が向上します。
REST API
Patch #6277: REST API for Search
検索機能のREST APIが実装されました。Redmineのクライアントアプリの開発者にとっては特にうれしい機能追加なのではないでしょうか。
GET /search.xml?q=query_string
<results total_count="2" offset="0" limit="25" type="array"> <result> <id>5</id> <title>Wiki: Wiki_Page_Name</title> <type>wiki-page</type> <url> http://www.redmine.org/projects/new_crm_dev/wiki/Wiki_Page_Name </url> <description>h1. Wiki Page Name wiki_keyword</description> <datetime>2016-03-25T05:23:35Z</datetime> </result> <result> <id>10</id> <title>Issue #10 (Closed): Issue_Title</title> <type>issue closed</type> <url>http://www.redmin.org/issues/10</url> <description>issue_keyword</description> <datetime>2016-03-24T05:18:59Z</datetime> </result> </results>
Feature #21757: Total spent hours and estimated hours need to be get via REST
チケットのREST APIで、子チケットの予定工数・作業時間を合計した合計予定工数・合計作業時間が取得できるようになりました。この情報はRedmine 3.1.0よりweb UIでは表示されるようになっていたのですが、REST APIでは対応していませんでした。
Translations
Patch #21991: Japanese wikisyntaxdetailed_textile.html translation improvement
これまで日本語化されていなかったMarkdownヘルプが日本語化されました。
UI
Patch #20632: Tab left/right buttons for project menu
プロジェクトメニューなどが画面の横幅に収まらないときにメニューを左右に移動するボタンを追加します。これまではメニューが画面幅より広くなると右側にあふれたメニューは表示されずクリックすることもできませんでした。
Patch #21947: Improve page header title for deeply nested project structures (+ improved XSS resilience)
Redmineの画面のヘッダ部にはプロジェクトの階層関係が表示されますが、プロジェクトの階層が深いときには文字が大きいため表示が崩れることがありました。このパッチにより文字の大きさが調整され表示が改善されました。
改善前:
改善後:
注目のチケット
今後のリリースに含まれるかどうかまだ未確定ですが、最近動きがあったチケットの中で注目度が高いものを紹介します。
Feature #12909: Drag'n'drop in Issue statuses' order configuration
トラッカー、ステータス、カスタムフィールドの並び順をドラッグ&ドロップで変更できるようにしようという提案です。2013年に作られたチケットですが、3月にテストコード付きのパッチが投稿されました。
Feature #15880: Consistent, global button/menu to add new content
プロジェクトメニューの「新しいチケット」を廃止してチケットだけでなくバージョンやWikiページなどの追加も統合したボタンが提案されています。多数の賛成意見が寄せられています。
ドイツでRedmineベースのSaaSを提供しているPlanioという企業が提供したパッチで、同社のサービスでは2年以上前からこのボタンを使っているそうです。12月にチケットの対象バージョンが3.3.0にセットされたことで複数の人がコメントし始めています。
Patch #14318: Watchers Alerted To Changes But Cannot See Issues (potentially)
ロールの設定の「表示できるチケット」に下記の新たな項目を追加することを提案しています。
- Created by, Assigned to, or watched by the user
- Created by, Assigned to, watched by, or contributed to by the user
Redmine 3.2以前には「作成者か担当者であるチケット」という選択肢があり限定されたチケットしか見ることができないロールを作ることができますが、それにウォッチしていか、注記の投稿を行ったかという条件を追加しようとしています。
パッチ自体は2013年に投稿されていたもののテストコードが未整備でした。3月にテストコード付きのパッチが投稿したことでで対象バージョンが3.3.0にセットされました。