RedMica 3.0 新機能ガイド

 •  分類:  •  黒谷明大

2024年5月30日にリリースされたRedmine互換のオープンソースソフトウェア「RedMica」の新バージョン3.0の主な新機能8個を紹介します。

RedMicaとは

RedMicaはRedmine互換のオープンソースソフトウェアで、Redmineのソースコードをもとにファーエンドテクノロジー株式会社がリリースしています。ファーエンドテクノロジーが提供するクラウドサービス「My Redmine」でも使われています。

最大の特長は、Redmineより短い間隔で定期的にリリースされることにより、Redmine次期バージョンの新機能を先行して利用できることです。

例えば、Redmine 5.0.0が2022年3月リリースされてから、次のメジャーバージョンアップであるRedmine 5.1.0が2023年10月にリリースされるまでの約1年7ヶ月の間に、RedMicaは2.1、2.2、2.3の3回のリリースが行われました。これにより、RedMicaではRedmine 5.1で利用できるようになった新機能の多くをいち早く利用できました。また、Redmine 5.1.0 がリリースされたあと RedMica は 2.4 と 3.0 の2回リリースが行われ、Redmine 6.0 で利用可能となる新機能を先行して利用できるようになっています。


RedMica 3.0 について重要な変更が3つあります。

  • 対応する Ruby のバージョンに 3.3 が追加され、2.7 が外れました。
  • 対応する Ruby on Rails のバージョンが 7.1 に更新されました。多くのプラグインが 7.1 に対応するために修正が必要になります。
  • アセットパイプライン用ライブラリがSprocketsからPropshaftに変更されました。あわせてテーマのインストールディレクトリが変更になっています。 詳しくはRedmine 6系に備えよう! テーマとプラグインを対応させるためのチェックリストをご覧ください。

新機能

チケットにファイル添付のみでメール通知を送信

チケットにコメントの追加やステータスの更新なしでもファイルが添付されただけでメール通知が送信されるようになりました。


(例)ファイルの添付だけでチケットを更新した場合のメール通知

現在も「管理」→「設定」→「メール通知」タブ→「メール通知の送信対象とする操作を選択してください。」の設定で「チケットの更新」をONにすれば、チケットにファイルが添付されるとメール通知が送信されます。しかしながら、メール通知を減らすために「チケットの更新」をOFFの状態で「コメントの追加」や「ステータスの更新」などをONにしていると、ファイルが添付されただけではメール通知は送信されません。そのためコメントなしでファイルが添付されると気がつかないことがあります。

新しく追加された「添付ファイルの追加」をONにすれば、コメントなしでファイルが添付されてもメール通知が送信されます。「チケットの更新」をONにして不要な通知を受け取ることなく、添付ファイルの追加に気づくことができます。


「管理」→「設定」→「メール通知」画面に設定が追加された

ウェブUIでの時間の表示にローカライズされた小数点区切りをサポートする

作業時間などを表示するとき、時間と分を使った形式と十進法の形式のどちらを使用するか設定できます。 十進法の形式を使用する場合、小数点の区切り文字が言語ごとに変わるようになりました。 小数点区切りに「,(コンマ)」を使用する言語は「,」が使用されます。


小数点の区切り文字が言語ごとに変わる

浮動小数点数のためのローカライズされた小数点区切りをサポートする

フィールドの形式が小数の場合に、小数点の区切り文字が言語ごとに変わるようになりました。 小数点区切りに「,(コンマ)」を使用する言語は「,」が表示されるようになります。

ユーザーアカウントでIDN(国際化ドメイン名)を含むメールアドレスをサポートする

ユーザーアカウントの作成や更新時に、"joe@ドメイン名例.jp"やそのASCII表現である"joe@xn--eckwd4c7cu47r2wf.jp"のようなIDNメールアドレスが使用できるようになりました。


【RedMica 2.4以前】IDNメールアドレスに対応していないため警告が表示され保存できない

【RedMica 3.0以降】IDNメールアドレスに対応している

チケットの進捗率の間隔を10%または5%から選択

チケットの進捗率を0%〜100%の10%単位または5%単位から選択できるようになりました。Redmine 2.4 までは10%単位のみでしたが、5%単位が選択可能になり細かい進捗状況を記録できます。

詳細は下記ページをご覧ください。
Redmineのチケットの進捗率の単位を10%から5%に変更する (Redmine.JP)

「親チケット」フィルタの「含む」演算子が複数のチケット番号の入力をサポート

チケット一覧画面などで「親チケット」フィルタを使って絞り込む際、「含む」演算子を使用する場合にチケット番号を入力しますが、その入力フォームで複数個のチケット番号を受け付けるようになりました。以前のバージョンでは先頭の1個しか受け付けず、2つ目以降は無視されていました。

例えば、以下のような親子孫チケットがあるとします。


親子孫チケットの例

RedMica 2.4 以前のバージョンの「親チケット」フィルタの「含む」演算子では、親チケットの番号を2つ、例えば25と30を入力して適用をクリックすると、エラーにはなりませんが、先頭の25のみ受け付け、25の子孫チケットのみ表示されます。


RedMica 2.4以前では#25を親チケットに含む子孫チケットのみ表示される

RedMica 3.0 以降は、入力されたすべてのチケット番号を受け付けます。この例で言うと、25と30の両方の子孫チケットが表示されます。


RedMica 3.0以降では#25と#30を親チケットに含む子孫チケットが表示される

チケット一覧画面にウォッチャー表示

チケット一覧画面で各チケットのウォッチャーを表示できるようになりました。ウォッチャーは各チケットのサイドバーから確認できますが、チケット一覧画面に表示すると複数チケットのウォッチャーをまとめて確認できます。


詳細は下記ページをご覧ください。
Redmineのチケット一覧画面にウォッチャーを表示する (Redmine.JP)

予定工数と進捗率から残りの作業時間を算出する残工数

チケットの予定工数と進捗率の値から完了までの残りの時間を算出する新しい項目「残工数」が追加されました。あとどれくらいでチケットが完了するのかを一覧で見ることができます。

例えば、予定工数が40時間、進捗率が20%の場合、残工数は40時間x(100%-20%)=32時間と算出されます。

残工数を表示するには、チケット一覧画面で「残工数」を「選択された項目」に移動します。また、予定工数や作業時間と同じように残工数の合計を表示することもできます。


また、ロードマップからバージョンの詳細画面を表示すると、バージョンごとの残工数を表示します。


作成: 2024-07-25 10:00  •  分類: