RedMica 2.0 新機能ガイド
Redmine互換のオープンソースソフトウェア「RedMica」の新バージョン2.0の主な新機能7個を紹介します。
RedMicaとは
RedMicaはRedmine互換のオープンソースソフトウェアで、Redmineのソースコードをもとにファーエンドテクノロジー株式会社がリリースしています。ファーエンドテクノロジーが提供するクラウドサービス「My Redmine」でも使われています。
最大の特長は、Redmineより短い間隔で定期的にリリースされることにより、Redmine次期バージョンの新機能を先行して利用できることです。
例えば、Redmineの最新バージョンは2021年3月にリリースされた4.2ですが、Redmine 4.2のリリース以降、RedMicaは1.3と2.0の2回のリリースが行われました。これにより、RedMica 2.0ではRedmine次期バージョン5.0で利用できるようになる予定の新機能の多くが既に利用できます。
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新機能
- テキスト形式のフィルタで複数キーワードによるAND検索
- 新しいフィルタ「ファイルの説明」
- チケットのデフォルトクエリ
- グループごとの二要素認証必須設定
- admin権限がないユーザーでもグループメンバーが表示可能に
- ユーザーをCSVインポートで登録するときのメール通知の送信
- CommonMark Markdown の試験的なサポート
テキスト形式のフィルタで複数キーワードによるAND検索
テキスト形式のフィルタで複数キーワードによるAND検索ができるようになりました。チケットのテキスト形式のフィールド(題名、説明、コメント、カスタムフィールドなど)について、フィルタで複数のキーワードを指定して、すべてのキーワードを含むチケットを検索できます。
(例)dog
とfox
をスペースで区切る
- RedMica 1.3以前: 題名に「
dog fox
」が含む(2つのキーワードが続けて入力されている)チケットが抽出される - RedMica 2.0以降: 題名に「
dog
」と「fox
」が含む(2つのキーワードがどこかに含まれている)チケットが抽出される
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これまでと同じように入力した通りのキーワードで検索したい場合はダブルクォーテーションで囲みます。また、これまでのRedMicaで使用できたSQLのワイルドカードは修正されて使用できなくなりました。
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新しいフィルタ「ファイルの説明」
新しいフィルタとして「ファイルの説明」が追加され、添付ファイルの説明のテキストで検索できるようになりました。
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「ファイルの説明」は添付ファイルをアップロード後、どのようなファイルなのかを入力できます。
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チケットのデフォルトクエリ
チケットのデフォルトクエリが設定できるようになりました。プロジェクトのチケット一覧画面を開いたとき、これまではすべての未完了チケットが一覧で表示されていましたが、特定のカスタムクエリが適用された状態で開くことができます。
プロジェクトの「設定」→「チケットトラッキング」→「デフォルトのカスタムクエリ」からデフォルトで表示したいカスタムクエリを設定します。
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プロジェクトのメンバーに見てほしいチケットを表示するカスタムクエリを作ってデフォルトに設定するなどの使い方があります。
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個人設定、プロジェクトの設定、管理画面の3つの箇所で設定できます。個人設定で常にデフォルトで表示したいこのカスタムクエリを設定したり、プロジェクトの管理者がこのプロジェクトではこのカスタムクエリを見せたいという設定をしたりできます。あるいはシステム管理者が管理画面でRedMica全体についてこのカスタムクエリをデフォルトに適用したいという設定もできます。
3つのレベルで設定ができますが、個人設定→プロジェクトの設定→管理画面の順に優先して適用されます。
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グループごとの二要素認証必須設定
グループごとに二要素認証を必須に設定できるようになりました。これまで二要素認証はデフォルトは任意で、設定したいユーザーが自分自身で設定できました。システム管理者が必須に設定すると全ユーザーに強制できますが、全員を強制するか全員を任意にするかのどちらかにしか設定できないので、一部のユーザーは必須、その他のユーザーは任意という設定ができませんでした。
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RedMica 2.0は特定のグループだけ二要素認証を必須にすることができるので、二要素認証が必須のユーザーと任意のユーザーを混在できます。例えば、強い権限を持っているユーザーは二要素認証を強制するためグループ単位で必須にすることができます。
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admin権限がないユーザーでもグループメンバーが表示可能に
システム管理者権限がないユーザーでもグループのメンバーが表示できるようになりました。例えば、担当者にグループが割り当てられているときにそのグループが割り当てられていることはわかりますが、システム管理者以外のユーザーはグループに誰がメンバーなのかRedMica 1.3以前は見ることができませんでした。
RedMica 2.0からはグループ名をクリックするとメンバーが一覧で表示されます。
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ユーザーをCSVインポートで登録するときのメール通知の送信
ユーザーをCSVインポートで一括登録したときに、登録されたユーザーにログイン情報を記載した通知メールを送る機能が追加されました。管理画面からユーザーを登録するときはこの機能がありましたが、CSVインポートで登録するときはメール通知が機能していませんでした。
RedMica2.0からはインポート中のメール通知ができるようになりました。
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CommonMark Markdown の試験的なサポート
テキスト書式としてMarkdownとTextileの2つをサポートしています。Markdownのエンジンとしてこれまで使っていたRedcarpetに加えて新しいライブラリCommonMarkerが使えるようになりました。
ちなみに試験的なサポートということになっていますが、将来のバージョンのRedmineではRedcarpetは削除されて、完全にCommonMarkerに置き換わる予定になっています。
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CommonMarkはHTMLのタグが使用できます。例えば、tableのセル内で改行したいとき、これまでのRedMicaのMarkdownではできませんが、HTMLの <br>
タグを書くと途中で改行できます。また、Markdownのtableはセルの結合ができませんが、HTMLでtableタグを書けば結合したセルなど複雑なtableも書けるようになります。
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