Redmine 5.1 新機能紹介

 •  分類:  •  石原佑季子

2023年10月31日にリリースされたRedmine 5.1.0の148件の機能追加・修正の中から新機能27件をピックアップして紹介します。

目次


Redmineとは:
Redmineはオープンソースのプロジェクト管理ソフトウェアです。オンプレミスのサーバなど自前の環境に自由にインストールできるほか、 クラウドサービス も利用できます。Redmineについて詳しくは Redmine.JP (Redmine日本語情報サイト)をご覧ください。

Administration(管理)

Redmine 5.1 新機能(1): 管理→プロジェクト画面のフィルタ

Feature #33422: Re-implement admin project list using ProjectQuery system

「管理」→「プロジェクト」画面でフィルタや表示項目の変更、カスタムクエリの作成ができるようになりました。チケット一覧画面と同じようにフィルタで絞り込んで知りたいプロジェクトの情報を簡単に表示できるようになりました。

Redmine 5.1 新機能(2): 管理→ユーザー画面にフィルタやオプション、カスタムクエリなどの機能追加

Feature #37674: Upgrade Admin/Users list to use the query system

「管理」→「ユーザー」画面にフィルタやオプション、カスタムクエリ機能が追加されました。ユーザー一覧画面において、チケット一覧画面のように、ユーザーをフィルタで絞り込んで表示したり、表示する項目を変更したりできるようになりました。


フィルタやオプションが追加されるユーザー画面

例えば、次のようなことができます。

(一例)

  • ユーザーを絞り込んで表示
    • システム管理者のみ表示
    • 作成日、最終接続日で絞り込み
  • 複数ユーザーをまとめて削除
  • 表示する項目を追加・変更
  • カスタムクエリ(フィルタやオプションの設定を保存)を作成

システム管理者のみ表示

最終接続日で絞り込み

表示する項目を追加・変更

複数ユーザーをまとめて削除

右クリックまたは「…」をクリックするとロック/編集/削除が可能

Attachments(添付ファイル)

Redmine 5.1 新機能(3): WebP形式の画像のサポート

Feature #38168: WebP images support

WebP形式の画像を添付したとき、以下の機能に対応できるようになりました。

  • 添付ファイルのサムネイル画像の表示
  • インライン画像の表示
  • ドラッグ&ドロップで添付したときの画像埋め込み用のタグ挿入

Calendar(カレンダー)

Redmine 5.1 新機能(4): カレンダーのモバイル表示時のレイアウト改善

Feature #33682: Display calendar in vertical list layout on mobile screens

カレンダーをモバイルで表示したときのレイアウトが変更され、スマートフォンやタブレットでカレンダーが見やすくなりました。Redmine 5.0まではスマートフォンでもPCと同じレイアウトで表示されるため、画面の幅が狭いとテキストが改行されて見づらくなっていました。

変更前(Redmine 5.0) 変更後(Redmine 5.1)

Email notifications(メール通知)

Redmine 5.1 新機能(5): 通知メールに親チケットの情報を追加

Feature #34302: Show parent issues in notification email

チケットの更新を通知するメール本文に親チケットのトラッカー、チケット番号、題名が表示されるようになりました。子チケットが作成・更新されたとき、Redmineにアクセスしなくても通知メールを見れば親チケットがどれなのかが分かります。

Redmine 5.1 新機能(6): オートウォッチ「自分が作成したチケット」の追加

おすすめ

Feature #38238: Auto watch issues on issue creation

自分が作成したチケットを自動でウォッチできるオートウォッチ機能が追加されました。自分が作成したチケットはすべて自動的にウォッチするので、ウォッチした後にチケットごとにウォッチを解除できる、手動でウォッチする手間が省けるなどのメリットがあります。


個人設定のオートウォッチ「自分が作成したチケット」から設定できる

詳細は下記ページをご覧ください。
Redmineで自分が作成したチケットを自動でウォッチしたい(チケットのオートウォッチ) (Redmine.JP)

Email receiving(メール通知)

Redmine 5.1 新機能(7): ニュースの通知メールに返信でコメント追加

Feature #38274: Receive e-mail replies to news and news comments

ニュースやニュースのコメントの追加を通知するメールへ返信するとコメントを追加できるようになりました。Redmine 5.0以前のバージョンでは、ニュースの通知メールに返信してもコメントは追加されません。

Filters(フィルタ)

Redmine 5.1 新機能(8): チケットのテキストをOR検索できる「いずれかを含む」フィルタ演算子

おすすめ

Feature #38435: "contains any of" operator for text filters to perform OR search of multiple terms

チケットのフィルタの演算子に「いずれかを含む」が追加されました。複数キーワードをスペースで区切って入力すると、複数のキーワードのうちいずれかを含むチケットを抽出できます。

詳細は下記ページをご覧ください。
Redmineのチケットをフィルタで複数キーワードを指定してOR検索する (Redmine.JP)

Redmine 5.1 新機能(9): 「前方一致」「後方一致」フィルタ演算子でチケットを複数キーワードでOR検索

Feature #38456: OR search with multiple terms for "starts with" and "ends with" filter operators

フィルタの「前方一致」「後方一致」で複数キーワードをスペースで区切って入力すると、OR検索ができるようになりました。

  • 前方一致:指定したキーワードのいずれかから始まる
  • 後方一致:指定したキーワードのいずれかで終わる

例えば、以下はチケットに添付しているファイル名の後ろが .png または .jpg で終わるチケットを抽出します。

I18n(国際化)

Redmine 5.1 新機能(10): 検索キーワードの区切り文字として全角スペースにも対応

Feature #37878: Allow using ideographic space (U+3000) as a separator for search terms

画面右上の検索ボックスやチケット一覧画面のフィルタで複数のキーワードを入力してチケットなどをAND検索できますが、文字を区切るスペースが半角スペースだけでなく全角スペースにも対応しました。

詳細は下記ページをご覧ください。
Redmineで複数キーワードを全角スペースで区切ってAND検索したい (Redmine.JP)

Importers(インポート)

Redmine 5.1 新機能(11): 異なるプロジェクトのチケットの作業時間のインポート

Patch #36823: Allow to import time entries for issues in different projects

作業時間のインポート機能について、既存チケットについてはプロジェクトが異なっていてもインポートできるようになりました。

インポート画面の「フィールドの対応関係」で選択した一つのプロジェクトに作業時間が記録されますが、CSVファイルで指定したチケットが選択したプロジェクト以外でも作業時間をインポートできるようになりました。これまでは選択したプロジェクトの既存チケットにしか作業時間が記録できませんでした。これまで通り、チケット番号を指定しないものは選択したプロジェクトに記録されます。


CSVファイルで指定する既存チケット番号はどのプロジェクトでもOK

チケット番号を指定していないものは、「フィールドの対応関係」の「プロジェクト」で選んだプロジェクトに作業時間が記録される

Issues(チケット)

Redmine 5.1 新機能(12): チケットの各ステータスに説明を追加

Feature #2568: Description for issue statuses

チケットの各ステータスに説明が登録できるようになりました。チケット作成画面・編集画面で各ステータスの説明内容を参照できるので、どのようなときにどのステータスに変更するのがよいか分かりやすくなります。

各ステータスの説明を登録する


「管理」→「チケットのステータス」でステータスをクリック→説明欄が追加され、各ステータスの説明が登録できる

「管理」→「チケットのステータス」のステータスの一覧画面で説明も表示される

チケットの作成画面・編集画面で各ステータスの説明を表示する


チケット作成画面や編集画面でステータス右のアイコンをクリックするとステータスの説明が表示される

チケット入力中にステータスの説明を表示してどのステータスに変更するのが良いかわかる

Redmine 5.1 新機能(13): チケットのコメント編集日時・ユーザー表示

Patch #31505: Mark edited journal notes as "Edited"

チケットにコメントを追加後に鉛筆アイコンから編集すると「編集済み」と表示され、後から編集されたことが分かるようになりました。また、「編集済み」にカーソルを合わせると最後にいつ誰が編集したのか表示されます。

チケットの説明や各フィールドは編集するとその変更履歴が記録されますが、これまでコメントについては編集しても編集されたことが分かりませんでした。


最後に編集した日時・ユーザーが表示される

Redmine 5.1 新機能(14): チケットのレポートのCSVエクスポート

Feature #37362: CSV export of issues report

チケットのレポートをCSV形式でエクスポートできるようになりました。例えば、プロジェクトの進捗状況についての資料を作成するのに活用できます。

レポートはトラッカーや担当者などで分類したステータス別のチケットを表示します。
表示方法: プロジェクトの「概要」→「サマリー」→虫眼鏡アイコンをクリック


開いたCSVファイルの例

Redmine 5.1 新機能(15): CSVエクスポート時のフィールドセパレーターの選択

Feature #37621: Add field separator option to CSV export dialog

CSVエクスポートを実行するとき、フィールドセパレーター(区切り文字)をコンマとセミコロンのいずれかを選択できるようになりました。


Redmine 5.1 新機能(16): トラッカーごとにチケットの「優先度」の無効化

Feature #38416: Ability to disable the priority field

チケットの標準フィールド「優先度」がトラッカーごとに無効化できるようになりました。優先度を無効化したトラッカーでは、チケット画面に優先度が表示されません。

これまでは優先度を無効にする機能がなく、チケットの作成・編集画面で優先度を非表示にしたい場合は、ワークフローの「フィールドに対する権限」で「読み取り専用」に設定する必要がありました。

詳細は下記ページをご覧ください。
Redmineのチケットの優先度を非表示にしたい (Redmine.JP)

Issues filters(チケットフィルタ)

Redmine 5.1 新機能(17): 関連するチケットの番号を複数指定した絞り込み

Feature #38301: Multiple issue ids in "Related to" filter

チケットのフィルタで関連するチケットの番号をコンマ区切りで複数入力すると、複数のチケットを指定した絞り込みができるようになりました。

これまで「チケット」「親チケット」「子チケット」はチケット番号を複数指定できましたが、Redmine 5.1以降は関連や先行・後続なども複数のチケット番号を指定できるようになりました。


(例)関連しているチケットが110または111のチケットを絞り込み

詳細は下記ページをご覧ください。
Redmineのチケットのフィルタで複数のチケット番号を指定して絞り込む (Redmine.JP)

Redmine 5.1 新機能(18): チケット内の複数のテキスト形式フィールドをまとめて検索できる「全検索対象テキスト」フィルタ

おすすめ

Feature #38402: "Any searchable text" filter for issues

チケットのフィルタに新しく「全検索対象テキスト」が追加されました。チケットのテキスト形式のフィールドの値を検索対象としてまとめて絞り込みができます。

検索対象のフィールドは以下の4つです。

  • 題名
  • 説明
  • コメント
  • テキスト形式カスタムフィールド(「検索対象」をONに設定している場合のみ)

画面右上の検索ボックスからキーワードを入力して検索するときに対象となるフィールドと同じです。チケット一覧画面などのフィルタに「全検索対象テキスト」が追加されたことで、ほかのフィルタと組み合わせてチケットを探しやすくなります。

例えば、題名・説明・コメント・テキスト形式カスタムフィールドのいずれかに「島根県」が含まれているチケットを絞り込んで表示できます。

詳細は下記ページをご覧ください。
Redmineのチケットを複数のテキストフィールドを検索するフィルタで絞り込みたい(Redmine.JP)

Redmine 5.1 新機能(19): チケットの履歴を検索できる「現在/過去の値」「過去の値」「一度もない」フィルタ演算子

おすすめ

Feature #38527: New issues filter operators "has been", "has never been", and "changed from"

チケット一覧画面などでフィルタを追加して絞り込むときに利用するフィルタ演算子に「現在/過去の値」「過去の値」「一度もない」が追加されました。既存のフィルタ演算子「等しい」「等しくない」は現在の値を検索するものですが、「現在/過去の値」「過去の値」「一度もない」はチケットの履歴の値を検索できます。

  • 現在/過去の値:現在の値または過去の値が一致するもの
  • 過去の値:過去にその値から別の値に変更されたことがあるもの
  • 一度もない:現在においても過去においてもその値だったことがないもの

フィルタ演算子に「現在/過去の値」「過去の値」「一度もない」の3つが追加される

活用例

「担当者」フィルタで「一度もない」フィルタ演算子を選択すると、現在担当者ではなく、過去も担当したことがないチケットを抽出できます。


自分が担当者に一度もなったことがない未完了のチケット

「ステータス」フィルタで「過去の値」フィルタ演算子、「終了」を選択すると、ステータスが過去に「終了」から別のステータスに変更されたことがあるチケットを抽出できます。例えば、過去に「終了」にされたことがあるが「進行中」に戻されたチケットを探すことができます。


ステータスが過去に終了になったことがあるチケット

なお、「過去の値」フィルタ演算子が抽出するのは、過去に一度でも変更されたことがあるものです。「過去の値」が「終了」というのは、「過去に終了かつ現在は終了ではない」という意味ではなく、「過去に終了から別のステータスに変更されたことがある」という意味ですので、(終了から何度か変更された結果)現在ステータスが終了のチケットも含まれます。

詳細は下記ページをご覧ください。
Redmineのチケットをフィールドの履歴を検索するフィルタで絞り込みたい(Redmine.JP)

Permissions and roles(ロールと権限)

Redmine 5.1 新機能(20): 「プロジェクトの公開/非公開」権限の追加

Feature #38048: Introduce permission to set a project public

新しく「プロジェクトの公開/非公開」権限が追加されました。プロジェクトの管理者であってもプロジェクトの公開/非公開の設定を変更できないように制限できます。


「プロジェクトの公開/非公開」権限がないユーザーは「公開」のチェックボックスがグレーアウトする

詳細は下記ページをご覧ください。
Redmineのプロジェクトの管理者が公開できないようにする(「プロジェクトの公開/非公開」権限) (Redmine.JP)

Roadmap (ロードマップ)

Redmine 5.1 新機能(21): バージョンをChangelogテキストとしてエクスポート

おすすめ

Feature #36679: Export a version as changelog text

ロードマップ画面で特定のバージョンの一覧をテキスト形式でエクスポートできるようになりました。各バージョンの画面右下「TXT」をクリックするとエクスポートできます。Changelogやリリースノートを作るときに便利です。

SCM (バージョン管理システム)

Redmine 5.1 新機能(22): Gitリポジトリの「この更新以前のアノテート」

おすすめ

Feature #35432: Git: View annotation prior to the change

Gitリポジトリのアノテート画面に「この更新以前のアノテート」ボタンが追加されました。アノテートはこの行はどのリビジョンで誰が更新したのか表示されますが、それより前の更新の履歴をさかのぼって見ることができます。GitHubの「View blame prior to this change」と同じ機能です。

Search engine(検索エンジン)

Redmine 5.1 新機能(23): ブックマークしたプロジェクトのみを対象とした検索

Feature #38459: Support "My bookmarks" in the search

検索画面でブックマークしているプロジェクトのみを対象としたキーワード検索ができるようになりました。これまでは選択できるのは「全プロジェクト」、「マイプロジェクト」、表示中のプロジェクトの3つでした。

Redmine 5.1 新機能(24): キーワード検索結果からチケットのフィルタを適用した一覧画面を表示

Feature #38481: Further narrow search results with issues filter

画面右上にある検索ボックスでキーワード検索を実行したあとの結果画面からフィルタを適用したチケット一覧画面に移動できるようになりました。検索結果に表示されたチケットにフィルタを追加してさらに絞り込みたいときに便利です。

  1. 画面右上の検索ボックスからキーワードを入力します。表示された検索結果の画面で「チケットのフィルタを適用」をクリックします。
  2. チケットのフィルタを適用した一覧画面が表示されます。フィルタを追加して、キーワード検索結果のチケットをさらに絞り込みできます。

Text formatting(テキスト書式)

Redmine 5.1 新機能(25): テキスト書式のデフォルトが CommonMark Markdownに変更

Feature #34863: Change default text formatter for new installations from textile to common_mark

新たにRedmineをインストールした場合のデフォルトのテキスト書式がTextileからCommonMark Markdownに変更されました。

Time tracking(時間管理)

Redmine 5.1 新機能(26): ロールごとのデフォルトの作業分類(時間管理)

Feature #29286: Add default spent time activity per role

ロールごとに時間管理の作業分類のデフォルト値を設定できるようになりました。

例えば、システム開発プロジェクトでは開発者ロールなので「開発作業」をデフォルトに、別のプロジェクトでは管理者ロールなので「プロジェクト管理」をデフォルトにするといったことができます。


「管理」→「ロールと権限」→ロールの名称をクリック→「時間管理におけるデフォルトの作業分類」

設定方法は下記ページをご覧ください。
Redmineでロールごとに時間管理の作業分類のデフォルト値を設定する (Redmine.JP)

Translations(翻訳)

Redmine 5.1 新機能(27): 対応言語にタミル語を追加

Feature #34924: Add Tamil language support

タミル語が50番目にサポートされる言語として追加されました。新しい言語の追加は、English(British)がRedmine 2.3に追加されて以来10年ぶりです。

作成: 2023-11-17 17:00  •  分類: