Redmine 3.4 新機能紹介 (3/5)
Redmine 3.4.0の200件の機能追加・修正の中から新機能63件をピックアップして紹介します。
3ページ目(全5ページ中)では8つのカテゴリ(My page, Permissions and roles, Project settings, REST API, Roadmap, Ruby support, Search engine, Text formatting)から12件を取り上げます。
My page (マイページ)
- Feature #8761: マイページパーツ「作業時間」で何日分の情報を表示するか設定可能に
- Feature #1565: カスタムクエリを表示する新たなマイページパーツ「チケット」
- r15929: マイページのチケット一覧のレイアウト変更
Permissions and roles (ロールと権限)
Project settings (プロジェクトの設定)
REST API
Roadmap (ロードマップ)
Ruby support (Ruby対応)
Search engine (検索エンジン)
Text formatting (テキスト処理)
My page (マイページ)
Feature #8761: マイページパーツ「作業時間」で何日分の情報を表示するか設定可能に
Redmine 3.4.0ではマイページ画面内の「作業時間」で、直近何日分のデータを表示するのか設定できるようになりました。これまで直近7日間で固定でしたが、ユーザーが自分好みに設定できるようになりました。
この設定機能は、マイページパーツ「作業時間」だけではなくほかのパーツにも拡張できるよう作られています。今後、ほかのパーツに設定機能が追加されたり、マイページパーツを追加するプラグインが設定機能を持つようになることが期待されます。
Feature #1565: カスタムクエリを表示する新たなマイページパーツ「チケット」
Redmine 3.4.0では、マイページ画面にカスタムクエリを表示することができるようになりました。任意のカスタムクエリを選んでマイページ画面に表示させることができます。
これまでチケットを表示するマイページパーツは「報告したチケット」「担当しているチケット」「ウォッチしているチケット」の3つだけでした。カスタムクエリが表示できるようになることで、マイページ画面のカスタマイズの幅が広がり利便性が高まります。
表示するカスタムクエリを選択:
マイページ画面に表示されたカスタムクエリ:
なお、この機能の実装に伴い、各マイページパーツのチケット一覧に表示する項目をカスタマイズする機能も加えられています。通常のチケット一覧画面と同じインターフェイスで、表示する項目を選択することができます。
r15929: マイページのチケット一覧のレイアウト変更
マイページ画面の「報告したチケット」「担当しているチケット」のチケット一覧のレイアウトが変更されました。
- ステータスを単独のカラムで表示
→ チケットのステータスが把握しやすくなる - チケット1件分の行の高さが固定に
→ チケットの数を視覚的に把握しやすくなる
変更前:
変更後:
Permissions and roles (ロールと権限)
Feature #4866: 新たな権限「メッセージの閲覧」
Redmine 3.4.0では新たな権限「メッセージの閲覧」が追加されました。これまではフォーラムに投稿されたメッセージはプロジェクトにアクセスできる全ユーザーに見えていましたが、Redmine 3.4.0ではロールごとに閲覧可否を設定できるようになります。
Feature #7068: 新たな権限「ニュースの閲覧」
Redmine 3.4.0では新たな権限「ニュースの閲覧」が追加されました。これまではニュースの掲載内容はプロジェクトにアクセスできる全ユーザーに見えていましたが、Redmine 3.4.0ではロールごとに閲覧可否を設定できるようになります。
Project settings (プロジェクトの設定)
Feature #22608: プロジェクトの設定画面の「バージョン」タブにフィルタ機能を追加
Redmine 3.3.xではプロジェクトの「設定」画面の「バージョン」タブにはステータスが「ロック中」「終了」のものも含めすべてのバージョンが表示されるため、1つのプロジェクトに多数のバージョンを作成している場合はバージョンの一覧が非常に長くなっていました。
Redmine 3.4.0ではフィルタ機能が追加されこの問題が解決されました。バージョンの一覧をステータスと名称で絞り込むことができるようになり、デフォルトでは進行中のもののみが表示されます。
【改善前】終了したバージョンも表示され一覧が長い:
【改善後】フィルタが実装されデフォルトでは進行中のみ表示:
REST API
Patch #19116: 「ファイル」機能用のREST API
Redmine 3.4.0ではプロジェクトの「ファイル」にアクセスするREST APIが追加され、Web画面以外にAPIでもプロジェクトの「ファイル」の一覧の取得と新たなファイルのアップロードができるようになりました。使い方は公式サイトのAPIリファレンスを参照してください。
※ここでいう「ファイル」とは、Redmineのプロジェクトの「ファイル」モジュールのことです。チケット等の添付ファイルとは異なります。
$ curl --user admin:admin http://blog.redmine.jp/projects/1/files.json | python -mjson.tool { "files": [ { "author": { "id": 1, "name": "Admin Redmine" }, "content_type": "application/octet-stream", "content_url": "http://blog.redmine.jp/attachments/download/12/foo-1.0-setup.exe", "created_on": "2017-01-04T09:12:32Z", "description": "Foo App for Windows", "digest": "1276481102f218c981e0324180bafd9f", "downloads": 0, "filename": "foo-1.0-setup.exe", "filesize": 74753799, "id": 12, "version": { "id": 2, "name": "1.0" } } ] }
Roadmap (ロードマップ)
Feature #23137: ロードマップ画面サイドバー内「完了したバージョン」の一覧の並び順を、新しいものが上になるよう変更
「ロードマップ」画面サイドバー内の「完了したバージョン」を展開すると、ステータスが「終了」になっている古いバージョンの一覧が表示されます。ここでのバージョンの並び順は期日が古い順だったので、参照する頻度が比較的高い最近のバージョンが下の方に表示されてしまいスクロールが面倒でした。
Redmine 3.4.0からは最近のものから順に表示されるようになりました。
Redmine 3.3.0までは古い順に表示されるので最近のものを参照しにくかった:
Ruby support (Ruby対応)
Feature #25048: Ruby 2.4対応
Redmineはプログラミング言語Rubyを使って開発されています。Redmine 3.4.0は、2016年12月にリリースされたRubyの最新バージョンである2.4にも対応します。
Rubyはリリースされてからおおむね3年でサポートが終了しています。Redmineをインストールするときは、できるだけ新しいバージョンのRubyを使用しましょう。
Redmine 3.4.0が対応するRubyのバージョンと、各Rubyバージョンのメンテナンス状況:
Rubyバージョン | リリース | メンテナンス終了 |
---|---|---|
2.4 | 2016/12 | |
2.3 | 2015/12 | |
2.2 | 2014/12 | 2018/03 (予定) |
2.1 | 2013/12 | 2017/03 |
2.0 | 2013/02 | 2016/02 |
1.9.3 | 2011/10 | 2015/02 |
Search engine (検索エンジン)
Feature #9909: 検索ボックスの検索対象を表示中プロジェクト+サブプロジェクトに変更
画面右上の検索ボックスから検索を行うときの検索対象は、これまでは表示中プロジェクトのみでしたが、Redmine 3.4.0はサブプロジェクトも対象となりました。親プロジェクトのチケット一覧ではサブプロジェクトのチケットが見えているのに検索ではそのチケットがヒットしないなど、直感的ではない挙動が改善されます。
ただ、サブプロジェクトも対象になることで検索対象のデータが増えるため、サブプロジェクトのデータの総量が多いと検索のレスポンスタイムが長くなってしまいます。大規模なRedmineを運用している場合は注意が必要かもしれません。
Text formatting (テキスト処理)
Feature #4179: ユーザーのプロフィール画面にリンクするためのWiki記法
Redmine 3.4.0では、チケットやWiki内でユーザーのプロフィール画面へのリンクを記述するためのWiki記法が追加されました。以下のいずれかの形式の記述を行うと、その記述が氏名に変換された上でユーザーのプロフィール画面へのリンクが行われます。
@ログインID
(例:@jsmith
)user:ログインID
(例:user:jsmith
)user:#ID番号
(例:user#2
)
なお、リンクを記述するためのログインIDは、Redmine 3.4.0においてもシステム管理者でないユーザーが知る方法がありません。Feature #26127 のチケットでは一般ユーザーでもプロフィール画面でログインIDを確認できるようすることが提案されています。
リンクのための記述:
リンク先のプロフィール画面:
Feature #24922: コンテンツへの添付画像埋め込みの高DPI対応
最近はMacのRetinaディスプレイなど、画面表示に本来の倍以上の密度の画素を使って鮮明な表示を実現する高DPI環境が普及しつつあります(例: 1440×900ピクセルの画面を2880×1800画素の液晶パネルで表示)。
Redmine 3.4.0では、チケットやWikiのインライン画像表示が高DPI環境に対応しました。画像の拡張子を除いたファイル名の末尾が @2x
や @3x
である場合(例: photo@2x.jpg
)、実際の表示の2倍・3倍の解像度をもつ高DPI対応の画像として扱われ、Webブラウザが自動的に適切な大きさで表示します(Internet Explorerを除く。Edgeは可)。
例えば、画面上では300×230ピクセルの大きさで表示される想定で、実際の解像度はその倍の600×560ピクセルである画像ファイル screenshot@2x.png
をチケットの説明欄内で表示させるとします。その場合、ファイル名に @2x
が含まれることから実際の2倍の解像度を持つ高DPI対応画像として扱われ、ブラウザ上では想定通り300×230ピクセルの大きさで表示されます(Internet Explorerを除く)。
高DPI環境でキャプチャしたスクリーンショットをRedmineに貼り付けるときの手間も減ります。これまでのバージョンではわざわざ半分の解像度に変換するなどしないと想定の倍の大きさで表示されてしまいますが、Redmine 3.4.0ではファイル名の拡張子の直前に @2x
を付けるだけで適切な大きさで表示されます(Internet Explorerを除く)。
この機能はHTMLのimg要素のsrcset属性を利用しています。Internet Explorer 11はsrcset属性に対応していないため、Redmine 3.3以前と同じ表示となります。
[Redmine 3.3.x] 常に元の画像の解像度のまま画面に表示される:
[Redmine 3.4.0] 拡張子の直前が @2x
だと高DPI対応画像として扱われ、その画像の解像度の半分の大きさ(=想定通りの大きさ)で表示される:
関連情報
- Redmine 3.4のCHANGELOG 日本語訳
すべての変更・修正の一覧です