Redmine 3.4 新機能紹介

 •  分類:  •  石原佑季子

Redmine 3.4.0の200件の機能追加・修正の中から新機能63件をピックアップして紹介します。

1ページ目(全5ページ中)では5つのカテゴリ(Administration, Attachments, Code cleanup/refactoring, Custom fields, Email receiving)から10件を取り上げます。


Administration (アカウント / 認証)

Attachments (添付ファイル)

Code cleanup/refactoring (コードクリーンナップ / リファクタリング)

Custom fields (カスタムフィールド)

Email receiving (メール通知)

Administration (アカウント / 認証)

Feature #16484: 新しいユーザーを作成したときのデフォルトタイムゾーン

Redmine 3.4.0では、新しくユーザーを作成したときにデフォルトでどのタイムゾーンを設定するのか、「管理」→「設定」画面の「認証」タブで指定することができるようになりました。Redmine 3.3まではユーザーを作成した後に個人設定画面でタイムゾーンを設定する必要がありました。

Redmineはユーザーごとにタイムゾーンを設定し、画面の時刻表示を調整できます。例えば日本時間の午前10時に作成されたチケットの場合、タイムゾーンが「(GMT+08:00) Beijing」に設定されているユーザーには北京時間の午前9時が作成時刻として表示されます。

タイムゾーンの設定が行われていないと、誤った時刻が表示されたり、一見正しい時刻が表示されているように見えても活動画面で午前0時から午前9時までの情報が前日分としてされるなど細かな不具合が発生します。

大多数のユーザーが同じ地域で活動していてタイムゾーンも同じである組織では、あらかじめデフォルトタイムゾーンを設定しておけば設定漏れによる時刻表示の不具合を防ぐことができます。

Attachments (添付ファイル)

Feature #13072: 添付ファイルの一括削除

チケットなどに添付されている複数のファイルを削除しようとすると、Redmine 3.3までは削除操作をファイルの数だけ繰り返す必要があり、多数のファイルを削除したいときには少し面倒です。Redmine 3.4.0ではこの点が改善され、複数のファイルをまとめて削除できるようになりました。

複数のファイルを削除するにはチケットの編集画面から「添付ファイルの編集」をクリックしてください。ファイルの一覧とチェックボックスが表示されるので、そこで削除したいファイルにチェックを入れ「送信」ボタンをクリックするとファイルが選択したファイルが削除されます。

Patch #22941: Wiki、文書、フォーラムのメッセージに添付されたファイルのサムネイルを表示

チケットに画像ファイルを添付するとファイル名とともにサムネイル画像が表示され、ファイルを開かなくてもどんな画像が添付されているのか分かります(「管理」→「設定」→「添付ファイルのサムネイル画像を表示」がONの場合)。

Redmine 3.3まではサムネイルが表示されるのはチケットのみでしたが、Redmine 3.4.0からはWikiページ、文書、フォーラムのメッセージでも画像ファイルのサムネイルが表示されるようになりました。

また、この変更により添付ファイルの一覧はデフォルトでは折り畳まれて表示されなくなりました。Wikiページの表示がすっきりするとともに、どこまでが本文でどこからがファイル名かわかりにくい問題(#6239)も解決されました。

Patch #25215: 既存ファイルと同じファイルが添付された場合はディスク上のファイルを再利用してディスク領域を節約

Redmine 3.4.0にはサーバ上で添付ファイルを保管するのに使われるディスク領域を節約する機能が追加されます。既に添付済みのファイルと同一のファイルが新たに添付されたとき、後から添付されたファイルはディスクに保存しません。

まったく同じ内容のファイルを複数のチケットやWikiページに添付したとき、これまでは同一ファイルであってもそれぞれの添付ごとにディスク上にファイルを保持していました。その結果、ファイルが重苦して保存されるためディスク容量が無駄に消費されてしまいます。

Redmine 3.4.0の場合、添付されたファイルが既にサーバのディスク上に存在するものと同じ内容であった場合は新たに保存せず添付済みのものを再利用することで、ディスクの使用量を節約します。


[Redmine 3.3] 内容が同じファイルでもそれぞれディスク上に保持

[Redmine 3.4] 同じファイルは1つだけ保持して容量節約

同一ファイルかどうかのチェックはデフォルトではRedmine 3.4.0にアップデートして以降に添付されたファイル同士でのみ行われます。アップデート前から添付されていたファイルもチェック対象とするためには、Redmineのインストールディレクトリで下記のコマンドを実行してください(ファイルの数・総容量が多いとかなりの時間がかかります)。

bundle exec rake redmine:attachments:update_digests RAILS_ENV=production

Code cleanup/refactoring (コードクリーンナップ / リファクタリング)

Feature #15361: テーブルを行ごとに色分け表示するための cycle("odd", "even") を廃止し疑似クラス :nth-child を使用

HTMLとCSSの変更のみであり利用者には直接の関係はありませんが、Redmineのテーマを公開している方には影響が大きいので紹介します。

Redmine 3.3ではチケット一覧などのテーブルの各行の背景色を交互に変えるために、HTML内でtr要素の奇数行と偶数行にそれぞれ oddeven というクラスが付与されています。Redmine 3.4.0ではこれらのクラスではなく疑似クラス :nth-child(odd):nth-child(even) が色分けに使われるようになりました。

oddeven クラスを参照しているテーマは、Redmine 3.4.0に対応させるためには修正が必要です。

Custom fields (カスタムフィールド)

Feature #6719: カスタムフィールドに新たな書式「ファイル」を追加

Redmine 3.4.0ではカスタムフィールドに新たな書式「ファイル」が追加されました。このカスタムフィールドは、ファイルをアップロードして添付することができるもので、簡単に言えばチケットの添付ファイルの欄をデフォルトのものとは別に設けることができるようになるものです。

例えば、ソフトウェアのバグ報告用のチケットでスクリーンショットを添付するための必須入力のカスタムフィールドを追加し、必ずスクリーンショットを追加してもらうようにするといった使い方が考えられます。

Feature #23265: バージョン形式カスタムフィールドのフィルタをステータスごとにグループ化

Redmine 3.4.0では、チケットのフィルタのドロップダウンでバージョン形式カスタムフィールドの値が3つのステータス「進行中」「ロック中」「終了」ごとにグルーピングされて表示されるようになりました。Redmine 3.3以前ではすべてのバージョンが平坦に表示されていたため、バージョンの数が多いと目的のバージョンが探しにくくなっていました。

カスタムフィールドではなく対象バージョンのフィルタに対しては、同様の機能が実装されています(Feature #10412

Patch #21705: 「長いテキスト」形式カスタムフィールドの「ワイド表示」オプション

Redmine 3.4.0では「長いテキスト」形式のカスタムフィールドに「ワイド表示」オプションが追加され、説明欄と同じ大きさで表示することができるようになりました。

Redmine 3.3以前では表示の幅が狭いため、「長いテキスト」という名前にもかかわらず本当に長いテキストを入力すると非常に見にくくなっていました。Redmine 3.4.0ではワイド表示オプションによりこの問題が解消され、長文を扱いやすくなります。Redmineの応用範囲を広げるのに大きく貢献すると考えられます。

Redmine 3.3.x(機能追加前):
「原因」「再発防止策」が「長いテキスト」形式のカスタムフィールド。画面幅の4分の1程度の領域に内容が表示される。

Redmine 3.4.0(機能追加後):
「ワイド表示」をONにしたカスタムフィールドは説明欄と同じ幅で表示される。

ワイド表示の設定:

Email receiving (メール通知)

Feature #5864: 「管理」→「設定」の「メール本文から一致する行以降を切り捨てる」が正規表現に対応

Redmineはメールでチケットを登録する機能があります。この機能の設定として、メール本文内で特定のパターンに一致する行より後をチケット登録時に切り捨てる設定があります。これまでこの設定は文字列の前方一致によるマッチングが行われていましたが、Redmine 3.4.0からは正規表現でのマッチングも行えるようになりました。

Feature #25842: 通知メール内のテーブルに枠線を表示

Redmine 3.4.0では通知メール内のテーブルに枠線が表示されるようになります。これまでのバージョンでは枠線がないため、チケット内でテーブルが使われていると表示が見にくいことがあったのが改善されました。

3.3.x:

3.4.0:

関連情報

作成: 2017-07-03 22:00  •  分類: