Redmine 3.4 新機能紹介 (2/5)
Redmine 3.4.0の200件の機能追加・修正の中から新機能63件をピックアップして紹介します。
2ページ目(全5ページ中)では4つのカテゴリ(Issues, Issues workflow, Issues filter, Issues list)から20件を取り上げます。
Issues (チケット)
- Defect #5385: プロジェクトに関係のあるステータスのみチケットのフィルタに表示
- Defect #20127: MySQLを使用しているときにチケットの説明と注記に64KBを超えるテキストを入力できない問題の修正
- Feature #482: プロジェクトごとにデフォルトの担当者を設定
- Feature #3425: 「関連するチケット」に進捗率の表示を追加
- Feature #10460: チケットをコピーするときウォッチャーを保持
- Feature #10989: 未完了の子チケットを持つ親チケットのクローズを禁止
- Feature #12706: 注記の編集画面でプライベートフラグの変更に対応
- Feature #21623: チケットのプロジェクトまたはトラッカーの変更により失われたカスタムフィールドの値を履歴に記録
- Feature #23610: チケットをコピーするときステータスをリセット
- Feature #25052: チケットの説明欄の無効化
Issues workflow (ワークフロー)
Issues filter (チケットのフィルタ)
- Feature #2783: 新たなチケットのフィルタ「ファイル」
- Feature #10412: 対象バージョンのフィルタをステータスごとにグループ化
- Feature #17720: チケットのフィルタに「更新者」「最終更新者」を追加
- Feature #21249: チケットのフィルタでバージョン型カスタムフィールドの期日、ステータス、およびバージョンのカスタムフィールドも使用可能に
- Feature #23215: 新たなチケットのフィルタ「対象バージョンの期日」と「対象バージョンのステータス」を追加
Issues list (チケット一覧)
- Feature #6375: チケット一覧に「最終更新者」を表示
- Feature #25515: チケット一覧に添付ファイルを表示
- Patch #1474: チケット一覧で最新の注記を表示
- Patch #24649: チケット一覧の「作業時間」「合計作業時間」をクリックすると作業時間の一覧を表示
Issues (チケット)
Defect #5385: プロジェクトに関係のあるステータスのみチケットのフィルタに表示
Redmine 3.4.0では、フィールド「ステータス」に対するチケットのフィルタで、そのプロジェクトと子プロジェクトで使われているステータスのみが表示されるようになります。現在のバージョンではRedmine上のすべてのステータスが選択肢として表示されるため、そのプロジェクトとは無関係のステータスがたくさん表示されて邪魔に感じることがありました。
例えば、あるプロジェクトで3個のステータスを使うトラッカーだけを使用するよう設定したとしても、チケットのフィルタには3つのステータスだけではなくRedmine上に存在する無関係なステータスもすべて選択肢として表示されてしまいます。Redmine 3.4.0では実際に使われる3つのステータスのみが表示されるようになり、操作性が改善されます。
[3.3.x] システム上のすべてのステータスが表示される
[3.4.0] そのプロジェクトに関係あるステータスのみが表示される
Defect #20127: MySQLを使用しているときにチケットの説明と注記に64KBを超えるテキストを入力できない問題の修正
これまでチケットの説明欄と注記欄は、バックエンドのデータベースにMySQLを使用しているときは64KBを超えるテキストを入力しようとすると例外が発生していました(PostgreSQLやSQLiteでは問題なし)。
Redmine 3.4.0ではそれらのフィールドを格納するためのテーブルのカラムの型が変更され、16MBまでのテキストを入力できるようになりました。
Feature #482: プロジェクトごとにデフォルトの担当者を設定
Redmine 3.4.0では、プロジェクトの設定画面でデフォルトの担当者を設定できるようになりました。デフォルトの担当者を設定しておくと、担当者を選択せずにチケットを作成したときに自動で担当者が割り当てられます。
Redmineのチケットにデフォルトの担当者を設定する (Redmine.JP)
Feature #3425: 「関連するチケット」に進捗率の表示を追加
Redmine 3.4.0では、チケット表示画面の「関連するチケット」欄に、進捗率を表すバーが表示されるようになりました。
Redmine 3.3.xではこのバーが「子チケット」欄のチケットには表示されているのにもかかわらず「関連するチケット」欄のチケットには表示されていません。UIの一貫性を高めるための変更です。
Feature #10460: チケットをコピーするときウォッチャーを保持
Redmine 3.4.0では、チケットをコピーするときに、コピー元のチケットのウォッチャーも一緒にコピーすることができるようになりました(「ウォッチャーの追加」権限がある場合)。Redmine 3.3以前ではウォッチャーは無視されていました。
新しいチケットを作成する画面のようにウォッチャーを選択するチェックボックスが一覧表示され、ウォッチャーの追加や削除も行えるようになります。
Feature #10989: 未完了の子チケットを持つ親チケットのクローズを禁止
Redmine 3.4.0では、未完了の子チケットを持つ親チケットは、ステータスを終了状態にできないようになりました(ステータスの選択肢に表示されない)。また、終了した親チケットに対して新たな子チケットを作成することができなくなりました。
Redmine 3.3ではそのような制限が行われていないため、子チケットは未完了なのに親チケットがクローズされているという論理的におかしな状態になることがありました。Redmine 3.4以降ではそのような状態になるのを防ぐことができます。
クローズした親チケットに対して新たな子チケットを作成しようとするとエラーが表示される:
Feature #12706: 注記の編集画面でプライベートフラグの変更に対応
Redmine 3.3.0ではチケットを編集して注記を追加するとき「プライベート注記」のチェックボックスをONにしておくと、その注記は権限を持つメンバーしか閲覧できないプライベート注記とすることができます。しかし、既存の注記をプライベートにしたり、逆にプライベートとしたものを通常の注記とすることはできません。
Redmine 3.4.0からは注記の編集画面に「プライベート注記」のチェックボックスが注記の編集画面に追加され、いつでも注記をプライベートにしたり通常の注記に戻したりできるようになりました。
Feature #21623: チケットのプロジェクトまたはトラッカーの変更により失われたカスタムフィールドの値を履歴に記録
チケットのカスタムフィールドはプロジェクトまたはトラッカーごとに使用するかどうかを定義します。チケットの編集によりプロジェクトまたはトラッカーを変更したとき、もし変更元で使用していたカスタムフィールドが変更先では使われていない場合、これまでのRedmine 3.3.xではカスタムフィールドの値が失われていました。
Redmine 3.4.0ではこの挙動が若干改善され、失われた値がチケットの履歴に記録されるようになりました。
Feature #23610: チケットをコピーするときステータスをリセット
Redmine 3.4.0ではチケットをコピーしたときのステータスの扱いが変更されます。これまではコピー元のチケットと同じステータスがコピー先チケットでデフォルト選択されていましたが、Redmine 3.4.0では新しいチケットを作成したときと同じステータスが選択されるようになります。
例えば、ステータスが「終了」のチケットをコピーして新しいチケットを作成するとき、これまではコピー元と同じ「終了」が選択された状態でチケット作成画面が開いていました。今後は新しいチケットを作成するときと同様に、「新規」が選択された状態となります。このとき、ワークフローの設定で許可されているほかのステータスを選択し直すこともできます。
既存チケットをコピーして新しいチケットを作成したときに、誤ってステータスを「終了」のままチケットを作成した経験がある方は多いのではないかと思います。3.4.0では直感的に理解しやすい挙動に改められます。
このチケットをコピーしたとき…:
[Redmine 3.3] コピー先でのステータスの初期値はコピー元と同じ「終了」
[Redmine 3.4] ステータスの初期値は新しくチケットを作成するときと同じ「新規」
Feature #25052: チケットの説明欄の無効化
チケットの「進捗率」、「カテゴリ」、「予定工数」などのフィールドはトラッカーの設定で無効化することができますが(参考記事)、これまで説明欄は無効化することができませんでした。Redmine 3.4.0では説明欄も無効化することができるようになります。
これにより、「説明」という広い意味を持つ汎用的な名前のフィールドを無効化して、代わりにより具体的な名前のカスタムフィールドを使うことができるようになりました。カスタムフィールドのワイド表示オプションと組み合わせて使うことで、トラッカーの目的・用途に特化した入力画面を作りやすくなります。
説明欄を無効化してワイド表示のカスタムフィールドを配置した例:
Issues workflow (ワークフロー)
Defect #14696: チケットをコピーして作成するとき、元のステータスとデフォルトのステータスしか選択できない
Redmineには既存のチケットをコピーして新しいチケットをコピーする機能がありますが、これまでのRedmine 3.3.xではコピー元のチケットで設定されていたステータスとそのチケットのトラッカーでデフォルトとして設定されているステータスの2つしか選択できませんでした。
Redmine 3.4.0では、ワークフローで「新しいチケット」からの遷移先として指定されているすべてのステータスが選択できるようになりました。
Issues filter (チケットのフィルタ)
Feature #2783: 新たなチケットのフィルタ「ファイル」
Redmine 3.4.0では新たなチケットのフィルタ「ファイル」が追加されました。ファイルが添付されているチケットを抽出したり、添付ファイルの名前でチケットを探したりできるようになりました。
ファイルが添付されているチケットを抽出:
指定した名前のファイルが添付されているチケットを抽出:
Feature #10412: 対象バージョンのフィルタをステータスごとにグループ化
チケットのフィルタ「対象バージョン」のドロップダウンでバージョンがステータスごとにグルーピングされて表示されるようになりました。これまでのRedmine 3.3.xでは終了したバージョンも含めすべてのバージョンが分類無しで表示されましたが、Redmine 3.4.0ではバージョンの3つのステータス「進行中」「ロック中」「終了」ごとに分類されて表示されるようになりました。これにより目的のバージョンが探しやすくなります。
Redmine 3.3.0の対象バージョンのフィルタ:
Redmine 3.4.0の対象バージョンのフィルタ:
Feature #17720: チケットのフィルタに「更新者」「最終更新者」を追加
Redmine 3.4.0では新たなチケットのフィルタ「更新者」と「最終更新者」が追加されました。
「更新者」は、指定されたユーザーが更新したことがあるチケット(履歴欄に更新者として名前が出たことがあるチケット)を抽出します。「最終更新者」は、指定されたユーザーが最終更新者であるチケット(履歴欄の最も新しい記録がそのユーザーによる更新であるチケット)を抽出します。
自分が関係したことがあるチケットを抽出して状況を確認したり、顧客との連絡に使っているRedmineで最終更新者が顧客であるチケットを抽出して対応漏れを防ぐなどの使い方ができます。
Feature #21249: チケットのフィルタでバージョン型カスタムフィールドの期日、ステータス、およびバージョンのカスタムフィールドも使用可能に
Redmine 3.4.0では、チケットに対してバージョン形式のカスタムフィールドを追加しているとき、そのカスタムフィールドの「期日」と「ステータス」、そしてバージョンに対するカスタムフィールドの値をフィルタの条件として使えるようになりました。これまでのRedmine 3.3.xではカスタムフィールドの値に対するフィルタのみが利用可能でした。
Feature #23215で新たなフィルタ「対象バージョンの期日」と「対象バージョンのステータス」が追加されましたが、これをバージョン形式のカスタムフィールドにも広げたものです。
新たに追加されたフィルタ:
バージョン形式のカスタムフィールド(フィルタとして使用=ON):
バージョンに対するカスタムフィールド(フィルタとして使用=ON):
Feature #23215: 新たなチケットのフィルタ「対象バージョンの期日」と「対象バージョンのステータス」を追加
Redmine 3.4.0ではチケットのフィルタの種類に新しく「対象バージョンの期日」と「対象バージョンのステータス」が追加されました。
これまでもチケットの一覧を特定の対象バージョンに含まれるチケットのみに絞り込むことができましたが、今後は例えば次のような条件での絞り込みもできるようになります。
- 特定の日までに期日を迎えるバージョンに含まれるチケット一覧
- 終了したバージョンに含まれるチケット一覧
Issues list (チケット一覧)
Feature #6375: チケット一覧に「最終更新者」を表示
Redmine 3.4.0ではチケット一覧に「最終更新者」という項目を表示できるようになりました。ここに表示されるのはそのチケットを最後に更新したユーザー(チケットの履歴の末尾に名前が出ているユーザー)です。
例えば、部下や顧客など特定のメンバーが更新したチケットに注目したいときに役立ちます。
Feature #17720 (新たなフィルタ「更新者」「最終更新者」が追加)に関連した機能です。
最終更新者をチケット一覧に表示する設定:
最終更新者が表示されたチケット一覧:
Feature #25515: チケット一覧に添付ファイルを表示
Redmine 3.4.0では、チケット一覧画面で、そのチケットに添付されているファイルを表示させることができるようになりました。個々のチケットを開くことなく添付されているファイルの一覧が把握できるようになります。Feature #2783で実装されたチケットのフィルタ「ファイル」と組み合わると、チケットに添付されたファイルを探すときに便利に活用できそうです。
チケット一覧で添付されているファイルを表示するには、チケットのフィルタの「オプション」を展開し、「利用できる項目」の中から「ファイル」を選んで「選択された項目」に移してください。
Patch #1474: チケット一覧で最新の注記を表示
Redmine 3.4.0ではフィルタのオプションに「注記」が追加され、チケット一覧に最新の注記(コメント)を表示させることができるようになりました。
注記にはそのチケットに関係して何をしたのか書かれることが多いので、多数のチケットの最新の注記をまとめて見ることができるようになると、プロジェクト全体の最新の状況を把握するのに便利になります。
最新の注記をチケット一覧に表示する設定:
最新の注記が表示されたチケット一覧:
Patch #24649: チケット一覧の「作業時間」「合計作業時間」をクリックすると作業時間の一覧を表示
Redmine 3.4.0では、チケット一覧の項目「作業時間」「合計作業時間」が作業時間の一覧へのリンクとなりました。作業時間の明細を素早く確認できるようになります。
チケット一覧の「作業時間」欄のリンク:
リンクをクリックするとそのチケットの作業時間の一覧が表示される:
関連情報
- Redmine 3.4のCHANGELOG 日本語訳
すべての変更・修正の一覧です