Redmine 3.4 新機能紹介 (5/5)
Redmine 3.4.0の200件の機能追加・修正の中から新機能63件をピックアップして紹介します。
5ページ目(全5ページ中)では2つのカテゴリ(Translations, UI)から16件を取り上げます。
Translations (翻訳)
UI
- Defect #24617: Redmineのアップグレード後にキャッシュされた旧バージョンのJavaScriptとCSSが使われることがある問題の修正
- Feature #5920: プロジェクトを横断した情報を表示するためのメニューを「プロジェクト」画面に追加
- Feature #23310: 「プロジェクトへ移動…」ドロップダウンでプロジェクトをインクリメンタルサーチ
- Feature #23310: 「プロジェクトへ移動…」ドロップダウンに「全プロジェクト」リンクを追加
- Feature #23311: プロジェクトメニューに「作業時間」タブを追加
- Feature #23653: textarea を等幅フォントで表示するオプションを個人設定に追加
- Feature #23996: 作業時間の表示を HH:MM 形式に切り替える設定を追加
- Feature #24927: Gravatarアイコンとサムネイル画像の高DPI対応
- Feature #25988: 添付ファイルをクリックしたときの動作をダウンロードからプレビューに変更
- Feature #25999: リポジトリブラウザでファイルをクリックしたときのデフォルトの動作を「履歴」から「表示」に変更
- Feature #26071: 画像ファイルをドラッグ&ドロップで添付したときインライン表示用のマークアップも挿入
- Patch #23146: リビジョンの詳細の表示の改善
- Patch #23192: 活動画面の「前」「次」ボタンのスタイルをチケット画面と同じものに変更
- Patch #23639: 「+」メニューに「時間を記録」追加
- Patch #25775: 作成者のアイコンに加えて担当者のアイコンもチケットに表示
Translations (翻訳)
Patch #23659: label_enumerations の日本語訳を「列挙項目」から「選択肢の値」に変更
「文書カテゴリ」、「優先度」、「作業分類 (時間管理)」の選択肢を設定する画面は「列挙項目」と名付けられていますが、Redmine 3.4.0では「選択肢の値」に変更されました。「列挙項目」という言葉はRedmine以外の文脈で使われている事例が少なく、多くの人にとってあまりなじみがないと考えられるためです。
UI
Feature #5920: プロジェクトを横断した情報を表示するためのメニューを「プロジェクト」画面に追加
全プロジェクトのチケットを表示するためには、これまでは画面最上部のアプリケーションメニュー内の「プロジェクト」をクリックした後、プロジェクトの一覧画面で「すべてのチケット」をクリックしていました。
Redmine 3.4.0では、「プロジェクト」画面に「活動」「チケット」などのタブが表示され、プロジェクトを横断した情報を表示するための操作が個別のプロジェクトでの操作と共通化されて分かりやすくなりました。特に、ガントチャートとカレンダーは、これまでは「プロジェクト」→「すべてのチケットを表示」→「ガントチャート」という3クリックが必要でしたが、Redmine 3.4.0では「プロジェクト」画面からタブをクリックすることで直接表示画面に移動できるようになりました。
[Redmine 3.3.x] 「すべての○○」をクリック:
[Redmine 3.4.0] タブをクリック:
Defect #24617: Redmineのアップグレード後にキャッシュされた旧バージョンのJavaScriptとCSSが使われることがある問題の修正
Redmineを3.0〜3.3にバージョンアップすると、ブラウザでキャッシュされていた旧バージョンのJavaScriptとCSSが使われてしまい、画面が崩れた状態になることがありました(リロードまたはキャッシュのクリアで正常化)。Redmine 3.4ではこの問題への対策が行われ、最新のJavaScriptとCSSが読み込まれるようになりました。
キャッシュされたCSSによりアップデート後に画面が崩れた状態:
Redmineの画面を構成するHTML内で、JavaSCriptとCSSのファイル名にタイムスタンプを基にしたIDをパラメータとして付加することによってキャッシュされた古いファイルが使われるのを防いでいます。
Feature #23310: 「プロジェクトへ移動…」ドロップダウンでプロジェクトをインクリメンタルサーチ
Redmine 3.4.0では、画面右上のプロジェクトセレクタにプロジェクトの絞り込み機能(インクリメンタルサーチ)が追加されました。プロジェクト名の一部を入力すると、名称が部分一致するプロジェクトのみが絞り込まれて表示されます。多数のプロジェクトに参加しているときに、目的のプロジェクトへの移動が素早く行えるようになります。
Feature #23310: 「プロジェクトへ移動…」ドロップダウンに「全プロジェクト」リンクを追加
あるプロジェクトでチケット一覧を表示している状態から全プロジェクトを横断したチケット一覧を表示しようとしたとき、これまでは、①トップメニューの「プロジェクト」をクリック ②「すべてのチケットを表示」をクリック — の2つの動作が必要でした。
Redmine 3.4.0では、#5920で実装された「プロジェクト」画面のメニューとの組み合わせにより、「プロジェクトへ移動…」ドロップダウンから「全プロジェクト」を選択するだけで表示できるようになりました。プロジェクトを横断した情報を素早く参照できるようになります。
①あるプロジェクトのチケット一覧を表示している状態で「全プロジェクト」を選択:
②全プロジェクトを横断したチケット一覧が表示される:
Feature #23311: プロジェクトメニューに「作業時間」タブを追加
Redmine 3.4.0では、プロジェクトの「設定」→「モジュール」タブで「時間管理」が有効の場合、プロジェクトメニューに「作業時間」タブが表示され、作業時間の一覧画面へのアクセスが簡単になりました。これまでのRedmine 3.3.xではプロジェクトの「概要」タブをクリックしてから作業時間の「詳細」または「レポート」をクリックする必要がありました。
Feature #23653: textarea を等幅フォントで表示するオプションを個人設定に追加
チケットの説明や注記などの入力欄は、WebKit系ブラウザではプロポーショナルフォントで表示されます。ただ、システム開発プロジェクトなどでソースコードを記載したりTextileやMarkdownでテーブルを記述したりする場合、等幅フォントで表示された方が使いやすいことがあります。
Redmine 3.4.0では入力欄の表示にプロポーショナルフォントと等幅フォントのどちらを使うのか、個人設定画面で選択できるようになりました。
【個人設定でのフォント設定】プロポーショナルか等幅か選択できる:
【機能追加前】プロポーショナルフォントで表示される(Chromeの場合):
【機能追加後】等幅フォントでの表示を選択できる:
Feature #23996: 作業時間の表示を HH:MM 形式に切り替える設定を追加
これまでのRedmine 3.3.xでは予定工数と作業時間の表示において、1時間未満の値は小数で表示されます。例えば、30分は0.5、1時間20分は1.33といった具合です。
Redmine 3.4.0では、1時間未満の値を小数ではなく、0:30、1:20のように分単位の値をそのまま表示することを選択できるようになりました。時間をより直感的に把握できるようになります。
いずれの形式で表示するのかは「管理」→「設定」画面の「表示」タブの「時間の形式」で選択できます。
表示形式を切り替えるための設定:
1時間未満を小数で表示:
1時間未満を分単位で表示:
Feature #24927: Gravatarアイコンとサムネイル画像の高DPI対応
Redmine 3.4.0ではGravatarアイコンと添付ファイルのサムネイルの表示が高DPIに対応しました。これらはMacのRetinaディスプレイなど高DPIに対応した環境だとぼんやりした表示となっていましたが、Redmine 3.4.0ではその問題が解消されます。
改善前後のGravatarアイコンの比較(チケットの履歴):
Feature #25988: 添付ファイルをクリックしたときの動作をダウンロードからプレビューに変更
チケットやWikiに添付されているファイルをクリックすると、これまでのバージョンではダウンロードが始まりますが、Redmine 3.4.0ではプレビュー画面が表示されるようになりました。
ダウンロードするにはファイル名右側のダウンロードアイコンをクリックするか、プレビュー画面でダウンロードリンクをクリックします。
変更前(Redmine 3.3)の添付ファイルの表示:
変更後(Redmine 3.4)の添付ファイルの表示:
プレビュー画面(プレビューに対応した形式のファイル):
プレビュー画面(プレビューできない形式のファイル):
Feature #25999: リポジトリブラウザでファイルをクリックしたときのデフォルトの動作を「履歴」から「表示」に変更
リポジトリブラウザでファイル名をクリックするとそのファイルの履歴の一覧が表示されます。しかし、実際には履歴を見たいときよりもファイルの内容を見たいときの方が多いのではないでしょうか。ファイルの内容を見るにはさらにもう一回クリックが必要で、個人的には面倒に感じることが多いです。
Feature #25999 で提案されているパッチはファイル名をクリックしたときの動作を内容表示に変更し、この問題を解決します。さらに、「表示」「履歴」「アノテート」のリンクがタブに変更されるなどユーザーインターフェイスも整理されます。
リポジトリブラウザでファイル名をクリックしたとき…
Redmine 3.3.xでは「履歴」が表示される
Feature #22481 のパッチを適用するとファイルの内容が表示される
Feature #26071: 画像ファイルをドラッグ&ドロップで添付したときインライン表示用のマークアップも挿入
チケットやWikiに画像をインライン表示させるには、画像ファイルを添付した上で !image.jpg!
(Textileの場合) または [](image.jpg)
のように記述を行います。
Redmine 3.4.0では、ドラッグ&ドロップでファイルを添付するとインライン表示のための記述も同時に挿入されるようになりました。現在はチケット等に画像を含めようとすると、ファイル添付とマークアップ記述の2つの操作が必要ですが、ドラッグ&ドロップ操作のみで済むようになりました。
Patch #23146: リビジョンの詳細の表示の改善
「リポジトリ」画面のリビジョンの詳細の表示が見やすく改善されます。これまでのバージョンのRedmineではリビジョンのID、コミット者、コミットメッセージが同じスタイルで表示されていますが、Redmine 3.4.0ではIDなど詳細な情報が淡い色で表示されるなどチケットの履歴に近いスタイルとなります。比較的重要な情報であるコミット者とコミットメッセージが目立つようになりました。
【改善前】さまざまな情報が同じスタイルで表示され重要な情報が目立たない:
【改善後】コミット者とコミットメッセージがわかりやすい:
Patch #23192: 活動画面の「前」「次」ボタンのスタイルをチケット画面と同じものに変更
チケット画面のページネーションボタンはRedmine 3.2.0でスタイルが変更され、ページ番号や「前」「次」ボタンが大きく押しやすくなっていましたが、活動画面の「前」「次」ボタンは旧来のままでした。Redmine 3.4.0の活動画面はこの点が改善され、チケット画面同様に大きく押しやすいボタンになりました。
変更前:
変更後:
Patch #23639: 「+」メニューに「時間を記録」追加
Redmine 3.3.0ではさまざまな情報の登録画面を呼び出すための「+」メニューがプロジェクトメニュー内に追加されましたが、Redmine 3.4.0ではこのメニューから作業時間の記録画面も呼び出せるようになりました。
Patch #25775: 作成者のアイコンに加えて担当者のアイコンもチケットに表示
これまでのバージョンでは設定「Gravatarのアイコンを使用する」をONにするとチケットの左上に作成者のアイコンが表示されましたが、これに加えて担当者のアイコンも表示されるようになりました。
Redmineの使い方によっては作成者よりも担当者のほうが重要な情報であることも珍しくありません。左上のアイコンでチケットの作成者と担当者を同時に把握できるようになりました。
関連情報
- Redmine 3.4のCHANGELOG 日本語訳
すべての変更・修正の一覧です